結婚のリスク

これまでの未来図は、結婚というものがはらむリスクをはっきりさせ、解決方法としてどんなものがあるかを考えてみたものです。合子の例は、最初の結婚で、自発的とはいえ、①お金の入る仕事をやめ、離婚時にその期間に失った利益を取り戻そうとしたものの、②失った利益に届かない額を確保したにとどまり、③家事・育児に専念しているうちに仕事の熟練度も落ちて、④再就職では二ランクも下がったところから再出発をしなければならなくなりました。「玉のこし」などといわれて、結婚は女性のランクアップの好機のようにいわれていますが、実はこれだけの「損失の機会」もあるわけです。合子の場合は、妻の無償労働による貢献度を、離婚時の財産分与に反映する仕組みのある未来社会でしたから、三五%は確保できました。先の民法改正案では、夫婦の離婚時の財産分与は半分を原則とする、とありましたので、これが通って二十一世紀まで続けば、合子の取り分は五○%になる可能性もありますが、いずれにせよ、家事に専念してただ働きを続けた時期の損失分をどう回復するかについて、仕事をやめて結婚する人は考えておく必要があるでしょう。もう一つのリスクは、お金をもらえる仕事から離れている間に、熟練度はどんどん落ち、再就職の必要ができたときには使いものにならないということ、さらに、仮に技能が保たれていても証明する指標がない、ということです。相性が合う結婚相手をでみつければ、夫婦間に問題が生じて解決するためにここに書いたような大変なことをしないで済むかもしれません。

DY061_L